めざせ、Neoleaderエヴァンジェリスト

      「権限によらないリーダーシップ」は全ての人のもの。その素晴らしさが一人でも多くの人に伝わるといいと思います。

『敵とのコラボレーション』を実践してみる―虫が合わない人と物事を進めるには

 教訓 ストレッチは柔軟性は増すけどちょっと痛い

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こんにちはViViです。今回は身近に起きている対立構造について書籍を参考にしながらその対立構造を解決できるのか実証実験してみたいと思います。

参考にする書籍はこちらです。

0.本のあらまし

職場から、社会変革、家庭まで、意見の合わない人と協働して成し遂げなくてはならないことのある、すべての人に向けて、相手と「合意」はできなくても、異なる正義を抱えたままでも、共に前に進む方法について書いてあります。

具体的には「ストレッチコラボレーション」という考え方において実現可能である、と著者は述べています。

その「ストレッチコラボレーション」の3要素は以下のとおりです。

 

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【ストレッチの3つの要素】

1.協働する相手との関わり方をストレッチする(関係のストレッチ)

 相手と分かり合えないといけない、という先入観を捨てて、受け入れて、対処する

 →相手の言い分もしっかりと理解し、その上で自分の思いもしっかり伝える

2.チームでの取り組みの進め方をストレッチする(選択肢のストレッチ)

 何がうまくいくのか、を見つけるために多くの考え方や可能性を実際に試してみる

 →どうなるか結論は誰にも分らないのでやってみる

3.その場での自分の役割についてストレッチする(自分の役割のストレッチ)

 相手にだけ変化を求めるのではなく自分も変化する

 →相手だけに変化を求めるのではなく自分から変わる

 なんだ、よく言われることではないですか!と思ってしまいます。

1.身近で起きている出来ごと

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(※この話はフィクションです)

はてな高校では学校行事の1つに賞金の出るスピーチコンテストが過去10年以上開催されています。このスピーチコンテストのパトロンは同校の卒業生でもあるとある政治家です。そしてこのコンテストの運営は生徒たちの有志によって運営されています。

先月のこと、学校に対して、生徒たち有志で構成された実行委員会から今年のコンテスト概要が出てきましたが、先生たちはそれを見てびっくり!

これまでの内容から大きな変更があり、今まであった事前のスピーチ原稿のチェックもないし、クラスごとの予選大会もなくなっています。

担当の先生からしてみると、最近の生徒たちは礼儀もなってないし挨拶もできない。基本的なことができてないのに好き勝手にやっていて到底、この企画を許可することはできません。そこでそれを担当の先生から「これでは実施を承認できない。」と生徒に伝えました。

そうしたことろ、数日してパトロン政治家秘書から「なぜ、生徒たちの計画を否定するのですか。(パトロンの)先生が大層ご立腹で直接、学校とお話したいと言っていますのでセッティングさせてください。」連絡があり、数日後、担当の先生と副校長先生とでパトロン政治家の懇談の場を設けました。

その懇談は、場の95%をパトロン先生が一方的に話すばかりで高校側が説明する機会は5%ほどの時間しかもらえず、結果として対話になる雰囲気にはならずに懇談が終了してしまいました。

それぞれの言い分をまとめると、こんな感じです。

  • 生徒たちは、学校は、自分たちの計画どおりのコンテストをやらせてくれない。
  • 先生たちは、生徒たちは基本ルールも守れないのにただただ去年と違うから、と言ってなんでも否定してくる
  • パトロンは、「私は生徒の自主性を育てるためにお金を出している。なぜ、生徒の言うことを学校はすぐにダメ出しするのか

果たしてパトロンと学校はうまくやっていけるのでしょうか。

そして、今年度のスピーチコンテストは実現できるのでしょうか。

2.本から学ぶ解決のヒント

この解決のために取り得る手段はなんでしょうか。

本の中ではストレッチコラボレーションとして以下の3つのことが書いてあります。

  1. (関係のストレッチ)相手の言い分もしっかりと理解し、その上で自分の思いもしっかり伝える
  2. (選択肢のストレッチ)どうなるか結論は誰にも分らないのでやってみる
  3. (自分の役割のストレッチ)相手だけに変化を求めるのではなく自分から変わる

これを実践してみるしかない。

3.実際に身の周りで起きている出来事に当てはめてみると

私の立場は、パトロン氏、高校、生徒たちの3者の中では、学校の先生の立場に当たりますのでこの立場から、著書から得た3つのストレッチを考えてみました。

関係のストレッチ

パトロン氏、高校、生徒たちとそれぞれの立場として、どうしても譲れないところを三者がお互いに共有する場を設定してみました。

選択肢のストレッチ

実際に実行委員のアイディアでコンテストを実施してもはうまくいかないかもしれない。けれどやってみないとわからない部分もあります。

学校としてどうしても譲れないところは事前に示して、それ以外のことは思い切って生徒たちのや実施案でやらせてみます。

自分の役割のストレッチ

 学校側としては、去年までは生徒を「指導する」役割でした。けれどもその役割から少しストレッチ(一段下りた形で)して、今年は生徒による実行委員会の「支援者」という役割になってみます。

4.本の内容とそれをやってみての違い

では、上記3つのストレッチをしてみた結果と本に書かれている結果とはどうだったのでしょうか。

この中で一番難しかったのは「役割のストレッチ」です。

今まで学校と生徒の関係としては上下関係だったものに対して、「自分の役割をストレッチするということ」は、ある程度並列にするということです。その切り替えが自分でできるのか、それが難しい。

身体のストレッチ同様に、自分の役割に柔軟性を持たせるためには勇気と痛みが伴いました。

5.まとめ

言うは易し行うは難し

これにつきます。

リスクが取れる範囲でやってみる。

ストレッチを繰り返すことで少しずつ身体が柔らかくなってくるように、1センチ先に手が届くようになるように、自分が行動できる範囲が広がっていく、ということなんだ、と分かりました。

6.感想

今回のエピソードはフィクションであり、現在進行中でもあります。

でもこの本をとおして著者が言いたいことが実践をとおして少し分かった気がします。

人は誰しも自分が正しいと思っている。

その「正しい」という枠を少しずつ苦手な方向にストレッチするときにはちょっとした辛さを味わうけれど、それは柔軟性が増している証拠なんですね。

 

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